blog
ブログ

2022.02.08 院長ブログ

においの低下(嗅覚障害)に対する嗅覚リハビリテーションについて

においを感じにくくなった、味を感じにくくなったということはありませんか。

においと味は密接な関係にあり、においの感じ方がよわくなると、食べ物の風味を感じにくくなり、味にも異常を感じることが多いといわれています。厳密な味の障害(味覚障害)は、強い口腔粘膜の乾燥や感染、亜鉛などの微量元素の不足でおこることが多いですが、ここではにおいの障害(嗅覚障害)と、それに伴っておこる嗅覚味覚障害の際に近年すすめられる、嗅覚リハビリテーション(嗅覚トレーニング)についてお話しします。

これまで、においが感じにくくなる嗅覚障害に対しては、亜鉛の補充、漢方、ステロイド薬の点鼻や内服、ビタミン製剤などが治療として使用されてきましたが、いわゆるエビデンスとされる高い信用をもつ治療はありませんでした。

2009年にドイツで嗅覚障害の患者さんにおいて、4種類のアロマの香りを毎日2回ずつかいでもらう嗅覚リハビリテーションを12週間行い、リハビリテーションを行わなかった患者さんたちと比べて改善がみられるかの臨床試験を行った結果が発表されました。

その結果、嗅覚リハビリテーションを行った患者さんたちにおいて、数学的に有意に改善がみられました。また、ギリシャで行われた別の研究ではより長期の9か月間の嗅覚リハビリテーションを行い、香りのセットを12週間ごとに変えたほうがより改善の度合いが大きかったと報告されました。それ以外に、特に疾患のない高齢者においても、嗅覚低下を予防する効果があることが示唆されています。

これにより、嗅覚リハビリテーションへの注目が高まり、いま、国内でも日本人にあうにおいを使って同様の結果が得られるかどうかの臨床試験が進行中です。

においの神経は、感覚神経としては珍しく、絶えず新しい細胞ができる仕組みがあるといわれています。しかし、この新しいにおいの細胞は、生まれてから1,2週間以内ににおいの刺激を得られないと、細胞死がおこってしまうこともわかっています。

仮ににおいがわからなくなっても、鼻づまりなどがあればはやめに改善させ、においをかいで、においの刺激をいれることがにおいを改善すると考えられています。

当院ではにおいがわかりづらくなった患者さまに、T&Tオルファクトメータを用いた基準嗅覚検査を行い嗅覚障害の程度を評価し、腫瘍や蓄膿などの鼻づまりの問題がないかCTで確認したのちに、アロマを用いた嗅覚トレーニングを実施しています。

T&Tオルファクトメーター
聴覚検査室

治療効果も基準嗅覚検査にて評価を行い、ご確認いただけます。アロマはご自身で準備いただいてもよろしいですし、ご希望の場合は、香りのアロマのセットを有償にてお譲りいたします。お悩みの方はぜひご相談ください。